眼底疾患について

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眼底疾患とは

目の奥の部分を「眼底」といいます。眼底には網膜といって、光を感じ取る視細胞や、その情報を脳に伝える神経細胞が多く集まった薄い膜状の組織があります。

白内障、緑内障以外の眼底疾患としては、黄斑前膜、黄斑円孔、黄斑浮腫、網膜裂孔、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分岐閉塞症、加齢黄斑変性など、様々な疾患があります。

前房 瞳孔 水晶体 虹彩 毛様体 経絡膜 硝子体  黄斑 視神経 視神経乳頭 網膜
黄斑 中心窩 中心中心網膜 視神経乳頭 静脈 動脈

また、「黄斑」は網膜の中で特に視覚にすぐれた細胞がたくさん集まった部位ですが、これが障害されると視力の低下を引き起こします。
近年では、黄斑疾患が増加しています。「真ん中が見えない」「歪んで見える」などの自覚があれば、まずは眼底検査を受けることが重要です。

黄斑疾患は、その原因により大きく3つに分けることができます。

1硝子体が黄斑を引っ張ることで起きる病気

黄斑円孔、黄斑前膜(黄斑上膜)、強度近視網膜分離症(近視性牽引黄斑症)

2網膜の血管から血液中の水分が漏れて黄斑が腫れる病気

糖尿病黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症による黄斑浮腫、網膜静脈分枝閉塞症による黄斑浮腫、黄斑部毛細血管拡張症

3網膜の土台の故障で血液中の水分が漏れる病気

加齢黄斑変性、強度近視脈絡膜新生血管黄斑症、中心性漿液性脈絡網膜症

眼底疾患全般にいえることですが、黄斑疾患の診断には光干渉断層計(OCT)が必須です。中には、強度近視網膜分離症のようにOCTが登場してはじめて見つかった病気もあります。

院長の板谷は、現在普及しているOCTの開発に参加し、OCTを用いた黄斑疾患の診断に関する論文を多数報告してきました。

また、最近では、「OCTアンギオグラフィー」という最先端技術が普及し、副作用のリスクのある造影剤を用いなくても黄斑疾患を診断できるようになってきました。

なかには、「OCTアンギオグラフィー」を用いないと診断できない病気もあり、それにより治療法も変わります(中心性漿液性脈絡網膜症)。当院では、OCTを3種類導入し、どの機種もOCTアンギオグラフィーを完備しています。

白内障の手術を受けるには眼底疾患に強い医療機関を選ぶことが安心です

白内障に比べ、眼底疾患ははるかに重い病気と言えます。当院では、院長は眼底疾患の研究をしてきたこともあり、この眼底疾患の治療を得意としています。ただ単に白内障の手術をできるということではなく、眼底までしっかりカバーできてこそ、安心して手術を受けられると考えています。

黄斑前膜

黄斑前膜は、黄斑上膜ともいい、70歳代を中心に高齢者に好発する疾患です。黄斑部の網膜表面に膜が張り、この膜が網膜を絞り込むように引っ張り、網膜が厚くなったり、皺ができたりと変形します。

加齢とともに網膜の表面に膜が張り、網膜を絞り込むように引っ張り網膜の中心部分(黄斑といいます)を分厚くしたり、皺を寄せたりしています。この膜を黄斑前膜または黄斑上膜といいます。
この黄斑の変形のために視力低下や見え方のゆがみ(変視症 = 歪視)などの症状が出現します。そのまま放置しても自然に良くなることは無く、むしろ徐々に悪化していきます。お薬でも治らないため、黄斑前膜を除去するために硝子体手術を受行います。

黄斑前膜の手術をすることで、黄斑前膜により生じている見えにくさが改善します。そして、多くの場合は、毎月視力が改善していきます。ゆがみもゆっくりと改善しますが、残ったり、ゆがみの方向が変わったりします。

黄斑前膜は悪化することがあり、手術を受けることで黄斑前膜増悪によるさらなる視力低下の可能性がなくなります。

網膜 黄斑前膜(黄斑上膜)

①後部硝子体剥離が起こり、硝子体ポケットと呼ばれる部分の後壁に孔が開いてポケットが破れてしまう。
②硝子体ポケットの後壁が網膜に張り付き、肥厚することで残膜が出来上がる。

黄斑前膜手術は、まず、硝子体手術を行い、黄斑前膜を剥離除去します。白目に3ヶ所孔をあけ、細い特殊な器具(灌流液注入器具、硝子体カッター、照明器具)を眼内に挿入し、まず硝子体を切除します。その後、細い膜剥離用鑷子を用いて網膜前膜を取り除きます。麻酔は局所麻酔(テノン嚢下麻酔)で行います。通常の症例であれば、平均30分前後の手術時間になります。

黄斑前膜手術を受けるタイミング(目安)
  • 黄斑前膜による症状で生活や仕事に支障がある場合(視力低下、ぼやけなど)
  • ゆがみがある場合。黄斑前膜が生じてから手術が早いほどゆがみは治りやすいと考えられます。長期間放置するほど手術を受けてもゆがみは治りにくくなります。
  • OCTで明らかな黄斑が分厚くなり、中心部の光を感じる神経細胞(視細胞)への影響が捉えられたとき

黄斑円孔

眼の中身である硝子体の一番後ろにある膜を「後部硝子体皮質」といいます。

これは生来網膜の表面に張り付いているものですが、加齢とともに硝子体が縮むと、この膜が網膜から離れようとして、黄斑の中心部分(中心窩)を引っ張ります。多くの方は、孔が開かずにはずれてしまいますが、一部の方は孔を開けてしまいます。この、網膜の中央部分である黄斑のさらに中心部分(中心窩といいます)に孔が開く病気を「黄斑円孔」と言います。

黄斑円孔①

黄斑円孔は、60歳代を中心に中高年の方に好発します。
孔が開いたところは機能しませんので、見つめたところが抜けて見えます。これを中心暗点と言います。ごく稀に自然に閉じることがありますが、通常は自然に良くなることは無く、むしろ徐々に円孔は拡大し中心暗点が大きくなっていきます。お薬では治らないため黄斑円孔を閉じるために硝子体手術を行います。

黄斑円膜の手術をすることで、真ん中の見えない部分(中心暗点)が縮小し、多くの場合毎月視力が改善していきます。

改善の程度は、円孔の大きさ、円孔の起こり方、円孔が発生してからの時間、年齢などにより異なります。

黄斑円孔は放置すると拡大し視力がさらに低下するとともに手術による閉鎖が難しくなります。手術を受けることでさらなる視力低下の可能性がなくなります。

手術の成功は黄斑円孔の閉鎖ですが、黄斑円孔が閉鎖すると多くの場合は視力がゆっくりと改善します。しかし、視力の回復の程度はさまざまです。1.0以上の矯正視力が得られる場合もありますが、なかには閉鎖に成功しても視力改善が期待したほど起こらない症例があります。見え方に後遺症が残るケースとして、高齢、円孔が大きい、円孔が古いなど理由は様々ですが、中心部分の光を感じる神経細胞(視細胞)が喪失したためと考えられます。

黄斑円孔②

①硝子体が縮み、硝子体の後部が網膜から離れようとする。
②網膜が硝子体に引っ張られた結果、黄斑に孔が開いてしまう

黄斑円孔手術では、まずは硝子体手術を行います。白目に3ヶ所孔をあけ、細い特殊な器具(灌流液注入器具、硝子体カッター、照明器具)を眼内に挿入して硝子体を黄斑部から引きはがして切除します。

その後、細い膜剥離用鑷子を用いて網膜の最表面にある内境界膜を剥離除去します。内境界膜は透明で見えにくいためブリリャントブルーGなどの色素で染めてから行います。内境界膜を除去することで、網膜の伸展性が得られ黄斑円孔の閉鎖率が格段に向上します。最後に眼内を空気に置換し、術後下向きを行うことで円孔閉鎖を促します。麻酔は局所麻酔(テノン嚢下麻酔)で行います。50歳以上の患者さんは白内障手術との同時手術が推奨されます。通常の症例であれば、平均35分前後の手術時間になります。

黄斑円孔手術を受けるタイミング(目安)

黄斑円孔が発見されたら緊急性はありませんが、早めに手術を受けた方が良いです。

黄斑浮腫

黄斑浮腫とは、網膜の血管から血液成分が漏れ出て黄斑部がむくむ病気の総称です。糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症で起きます。白内障の術後に起きることも稀にあります。

黄斑浮腫では、視野の真ん中がかすんで見えたり、人の顔や文字がゆがむなど、視野の中心が見づらくなるという特徴があります。

黄斑浮腫

黄斑浮腫は、薬物の注射や、レーザー網膜光凝固術、網膜硝子体手術などにより治療します。

蛍光眼底造影検査や、網膜の断面を観察する検査(OCT)で黄斑浮腫の状態を把握し、有効な治療法を選択します。

いずれの治療法も、網膜を元通りに回復させるというような効果はありません。あくまで浮腫を引かせ、現状を維持することを目的とした治療です。しかし治療をしなければ、徐々に視細胞が傷み、不可逆的な視力障害を残してしまうことにもなります。また、治療をしても再発してしまうことがあります。そのため、完全に浮腫がなくなるまで、粘り強く治療を続ける必要があります。

黄斑浮腫の手術を受けるタイミング(目安)

黄斑浮腫が発見されたら、悪化する前に早めに治療を開始することが大切です。

網膜裂孔

網膜裂孔は、網膜に生じた破れ目のことです。網膜裂孔は放置すると、網膜剥離(裂孔原性網膜剥離)を引き起こすことがあります。網膜裂孔は硝子体の変性や萎縮によって生じる「萎縮性裂孔」と、硝子体と網膜が癒着することで、網膜が硝子体に引っ張られて生じる「牽引性裂孔」に分類されます。網膜裂孔が起こる原因としては、加齢、強度近視、眼球の打撲などがあげられます。

網膜裂孔

網膜裂孔の代表的な症状としては、「飛蚊症」や「光視症」などがあります。視界のなかに黒い点やゴミのようなもの見える飛蚊症、光が当たってないのに光を感じる光視症は、どちらも加齢や近視から生じる硝子体混濁が原因で起こるものもありますが、見えるものが急に変化した時は特に注意が必要です。

飛蚊症のイメージ 光視症のイメージ

網膜裂孔を放置しておくと、孔の部分から硝子体の水分が入り込み、網膜剥離を引き起こす原因となります。網膜剥離は、視力低下や視野欠損が生じることもあり、放置すると失明に至る非常に危険な眼の病気です。網膜裂孔を放置すると、孔の部分から硝子体の水分が入り込み、網膜剥離を引き起こします。

硝子体 網膜裂孔 水分 網膜剥離

網膜裂孔を放置すると網膜剥離へと進み失明に至る危険性も

正常 初期 視力低下

網膜裂孔の治療は、裂孔の周囲をレーザーで焼き固める「レーザー光凝固術」が代表的な治療法です。網膜の裂け目から硝子体の水分が網膜の下に入り込むと、裂け目が広がり、網膜剥離へと進行するので、網膜剥離への進行を防ぐために、裂け目の周囲をレーザーで焼き固め、水分の侵入を防ぐというものです。網膜裂孔を発見した場合、可能な限り早く適切な治療をすることが大切です。網膜は数時間で剥がれてしまうこともあるため、早期発見・早期治療が非常に大切なのです。網膜裂孔は網膜剥離につながる可能性が高いため、早期治療が必要です。

レーザーで焼き固めて水分の侵入を防ぐ
網膜裂孔の手術を受けるタイミング(目安)

網膜裂孔が発見されたら、網膜剥離に進んでしまわないように可能な限り早く治療を開始することが大切です。

網膜中心静脈閉塞症

網膜中心静脈閉塞症をわかりやすく説明すると、静脈とは血液を心臓へ返す血管で、水を海へ返す川のようなものですが、網膜の静脈が詰まると、川の流れがせき止められ、決壊して住宅が水浸しになるように、静脈から網膜に血液成分が漏れ出し網膜出血が生じて網膜の中心である黄斑が浸水して腫れます。これを「網膜中心静脈閉塞症」といい、視力低下の原因になります。

網膜中心静脈 網膜中心動脈
網膜出血 網膜中心静脈 網膜中心動脈

網膜中心静脈閉塞症の治療は、まず黄斑浮腫を解消することが目標になります。現在の黄斑浮腫治療の第1選択は、抗VEGF薬という分子標的薬を眼の中へ注射する治療(硝子体注射)です。多くは抗VEGF薬の硝子体注射で治療可能ですが、治療抵抗性のある症例や黄斑表面の膜による牽引がでてきた症例は、硝子体手術が必要になります。

網膜静脈分岐閉塞症

網膜中心静脈 網膜中心動脈
網膜出血 網膜中心静脈 網膜中心動脈

網膜静脈分岐閉塞症の治療も、網膜中心静脈閉塞症と同じく、まずは黄斑浮腫を解消することが目標になります。

網膜中心静脈閉塞症・網膜静脈分岐閉塞症の治療を受けるタイミング(目安)

網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分岐閉塞症とでは、経過が異なります。
中でも網膜中心静脈閉塞症は網膜が虚血になると、黄斑のダメージが強くなり視力予後が不良になったり、血管新生緑内障が続発し緑内障手術が必要になるなど、病態が複雑で難治化していきます。
網膜中心静脈閉塞症は、眼底疾患と緑内障を含む総合的な診療を必要とします。

加齢黄斑変性

黄斑疾患の中でも加齢黄斑変性は失明原因5位に挙げられる疾患で近年増加しています。
症状としては視野の中心が見えにくい(中心暗点)、歪んで見える(変視症または歪視)などです。静かに変性していくドライタイプ(萎縮型)と網膜と土台の間に悪い血管(脈絡膜新生血管血管)が生えて急激に見えなくなるウエットタイプ(滲出型)があります。

RPE細胞 視細胞 網膜 萎縮型(ドライ型)加齢黄斑変性

ドライタイプ(萎縮型)の加齢黄斑変性は、老化による炎症がRPE細胞に起こることで、RPE細胞と、その上部にある視細胞が失われ、視力の障害が生じます。

RPE細胞 視細胞 網膜 滲出型(ウェット型)加齢黄斑変性

ウェットタイプ(滲出型)の加齢黄斑変性は、老化に伴う様々な原因でRPE細胞が障害されることで、脈絡膜から新生血管がつくられ、そこからの出血や血液成分の漏出などが起こり、視細胞の機能に障害が生じます。

黄斑が変化すると、視野の中心が薄暗く見える、視野の中心がゆがんで見える、視野が部分的に欠けて見えるなどの症状が出ます。加齢黄斑変性は、糖尿病網膜症や緑内障とともに、失明につながる可能性のある病気として注意する必要があります。

中心が薄暗く見える 中心がゆがんで見える 部分的に欠けて見える

加齢黄斑変性の治療では、「抗VEGF療法」といって、新生血管を沈静化させる薬を硝子体内に注射する方法が代表的です。その他、「光線力学的療法」、「光凝固法」などの治療があります。

加齢黄斑変性の治療を受けるタイミング(目安)

黄斑疾患の中でも加齢黄斑変性は失明原因5位に挙げられる疾患で近年増加しています。
加齢黄斑変性が見つかった場合には、早期に治療を受けましょう。

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